編集長の懐かしい話

間違いから学ぶ

創刊当初の編集は、日本からたいせつに持ち帰った「ワープロ」が頼りでした。しかし、日本語の文章をタイプするのは大変で、漢字とカタカナにはとても苦労しました。難しい漢字になると、現在では想像すらできないかもしれませんが、付録の別冊マニュアルで探して、その漢字に対応する「数字」を打ち込む、という複雑な変換をしなければなりませんでした。

私は、昔からカタカナ表記が苦手です。特に、どこを伸ばして書いたら良いかわからず困ることがありました。当時の誌面を眺めると、すぐに目につくところで、たとえば、「メタル」(正しくはメートルあるいはメーター)とか、「グルプ」(グループ)、「クッキ」(クッキー)、「メンーバ」(メンバー)など色々な間違いがあります。苦手意識が強すぎたためか、なかにはカタカナにしないで「Speech」とか「COVER」と英語のつづりそのまま書いている箇所も結構あります。

その頃、カトマンドゥ通信が日本に届いてから、丁寧に日本語の間違いを教えてくださる読者が何人かいました。エアメイルで送ってくれたり、わざわざ国際電話のFaxを送ってくれることもありました。間違いを丁寧に教えてもらえることは、私にとって非常にありがたい勉強で、大きな励みでもありました。もしもあの頃、恥ずかしいと思って、間違いばかりを気にしていたら、発行を続けることはできなかったでしょう。これからも、間違いから学ぶ初心を忘れずに続けていきたいと思います。

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